「子どもは犬と一緒に育てるといいらしい」

という両親の教育方針で、

僕は犬に育てられました。


小学校に入ったばかりのころ、

授業を終えると、犬が迎えに来て、

僕は犬につれられて家に帰っていました。


親は仕事で忙しかったため、
犬が僕の迎えをしていたのです。


簡単に言えば、

下校をかねて散歩をしていたということになります。


僕はいつも犬と一緒でした。

遊びに行くときも、もちろん一緒です。


というか、犬は僕の保護者なので、
僕の行くところにどこでもついてきました。

一人で山へ遊びに行って遭難しかけたときも、
犬はそばにいてくれました。

いつも一緒にいてくれたのが犬でした。


そんなある日、

犬が突然ハゲました。


原因はわかりません。

犬と一緒に家に帰っていると、
道で会う人全員が言ってくるのです。


「ハゲとるね」


僕はだんだん恥ずかしくなってきました。

ハゲた犬につれられて
家に帰っているのが、
たまらなく恥ずかしかったのです。

 

それから僕は、犬と一緒に帰るのをやめました。


犬は家から出なくなりました。

僕の迎えをしなくてもよくなり、
犬はずっと犬小屋にいました。

僕は友達と遊ぶことで一生懸命で、
犬のことはすっかり忘れてしまいました。

 

そんなある日の朝ごはんのとき、

父が言いました。

「昨日、犬が死んだ」

 

誰も何も言いませんでした。

 

 

 

 

僕は、今でも思い出します。

いつも一緒にいてくれた犬のことを。

 

そして、僕が犬にしてしまったことも。

 

恥ずかしいという感情は、
本当はいらないものなのかもしれません。


人間関係も同じだと思うのです。


恥ずかしいから、ありがとうと言わない。

恥ずかしいから、大好きと言わない。

恥ずかしいから、見て見ぬふりをする。

 

僕はそれ以来、
恥ずかしいという感情を捨てました。

 

もう二度とあんな思いはしたくないから。

0022

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。